大善力

大善力

「大善」を成す生き方。私たちサンフロマンの目指す道です。10年以上前になりますが塾長(稲盛和夫氏)に出会った初期に、佐渡の菩提寺の御老師に揮毫いただき、社長室に額入りで大きく掲げられている言葉であり、私の判断基準における重要な指針です。人生の目的を「一生をかけてどれだけ多くの人に役立たせていただくことができたか」に据え、「本業である仕事を通して、全従業員の物心両面の幸せと、人類社会の進歩発展に貢献すること」を志とし、これこそ私が人生を通して成したいことだと悟った時、「自分が幸せになるために」との私心が消え始め、人のために役立つ生き方をしたいとなり、周囲の人に善いことのみをするのだとの大きな勇気が湧き出てきたことを思い出します。人を思いやり自分が正しいこと善いことをすることのみが気にかかり、周囲の反応が気にならなくなったのです。

「大善は非情に似たり、小善は大悪に似たり」当社でよく耳にする標語です。その意味は、大きな善行は一般的には非情に見えるかもしれないがその判断基準は普遍的正しさであり、一見厳しいことを求めるが長い目で見れば必ず仲間、お客様のためになること。反対に小さな善行はその時は本人のやりたいようにやらせたり同情したりで、思いやりに満ちて優しく見えますが、やがては「良いわ良いわ」で道を誤らせ、将来に大悪をなしていく行為です。当社には大善をなす風土は歴然とありますが、飛びぬけて明確ではなかったことを反省いたしました。エンジャパン越智社長が社員の大きな評価ポイントにこの「大善力」を据えていることを知り、当社でも早速今回の評価より取り入れることといたしました。今までの講話集を見直しましたがこんなに大事なことを私の独りよがりで抜け落ち、今まで述べておりませんでしたので本日記してみます(社長といえども知らないことや抜け落ちていることは山ほどあります。仲間の為に気付きや気になるテーマがあったら遠慮なく教えてください。私は自分が考えるテーマ、問題克服のテーマを現場にいる皆からもらえることが嬉しい人間です)。

大善とは真のやさしさだと思います。決して見せかけのやさしさではなく、自分の私心を捨て、周囲の人みんなが幸せにという、大きな愛で深く包み込む誠実さがそのベースです。真のやさしさとは言いにくく厳しいことをも凛として口に出し、真の思いやりで理解を求めていく強く厳しい行為です。自分の見られ方など放り出し、皆を幸せに、会社をよりよくするために仲間に対して正論を吐くことは勿論のこと、お客様に対しても自分の損得を捨てて、お客様のため一筋に正しいこと善いことを主張し貫く勇気を持ったことを行う行為です。

一例ですが、親が子供を甘やかすあまり、子供は自分では何も出来ないようになってしまい、成長するに及んで人生を誤ってしまうということをよく耳にします。私も家内との口論のほぼ全てがこのような育児方針に起因します。本例は多くの若い人に働いてもらい実感します。大事に甘やかされて育った人は世間知らずの人が多いと感じます。人はいいのですが親に何でもしてもらって育ったために正しさとか人の喜びに対する基準がなく、正義感と勘働きが劣り、仕事に対する好奇心が薄く、物覚えが悪く、創造的なことが苦手な人が多いように思います。それとは逆に、貧しい生活環境に育った子供や正しさをベースとした厳しい親に育てられた子供は、自分を鍛え上げることを学び、自分で努力し試し、痛い目にもあって生きてきていますから、生きる知恵も身に付け人生の成功者になるということがよくあります。スポーツ選手の成功談からも感じますし、「私の履歴書」(日本経済新聞連載)の月初めの幼年期の描写を読みますとこのどちらかであることがよく分かります。前者が小善の親であり、後者が大善の親の育て方です。皆はどちらを子供のために選ぶでしょうか。

職場におけるリーダーでもよく分かります。小善タイプは「良い人」といわれる人に多いのです。いくら思いやりがあって、部下の話をよく聞く上司であっても、間違っていることを正す信念も無く、ただ好き勝手にさせていたり部下に迎合している上司ならば、その時よくても長い目で見たら組織は伸びず、仲間のためには全くなりません。(部下側にも自己主張が強く、べらべら喋り捲って素直さに欠ける等、上司から「諦められている」という原因を作っている場合があります。勘が良い向上心が高い人に多い現象ですから、この手の人は早期に「謙虚さと正しさ」を学ぶべきでしょう。成長し続けられるようになります)。また朝の時間が守れない怠惰やルーズを小言程度で流したり、誰かがやってくれるだろう的な部下の自分勝手な行為を感じていても無言で注意しない、小さな過失などを意識的に大きく見て指摘しようとしないなど、「ダムの決壊は蟻の一穴から」という危機意識の疎い、根本が部下に甘い上司というのは、人気はあるかもしれませんが部下を駄目にしていきます。心のどこかに嫌われたくない、真正面からの指摘で無く何とかよくしてあげよう、やめられたら困るなど、妥協的で打算的な生き方になっており、無意識で自分かわいさゆえに私心に囚われた勇気に欠けている場合がほとんどです。

集団を幸せに導く大善タイプリーダーはその反対です。リーダーとして生きる目的が明確であり、経営の判断基準を持っているのです。すなわち大善力の第一は、人間としての生きる目的をことあるごとに説き、正しい人生とは、仕事の価値とはとしっかり定義づけし、そのことを皆と徹底的に共有しようとしています。あらゆる機会を作り、使って大義名分を説き「目的と夢」を、火の玉の熱意で部下に注入していくリーダーです。正しさの前には妥協を一切しません。「一緒に立派な会社をつくろう、会社を大きくしていこう!我がチームを2年後にはこうしよう!」と夢を部下に注入していくリーダーです。「我々が成したい志はこれだ!将来こうなるぞ!皆で夢に向かって突き進もう!」この目的明確、ベクトル一致で他部門や周囲と調和する、人の心が内面から燃え上がる人間を作っていくことがリーダーの大善力として第一番に必要です。部門トップリーダーが次リーダーを育てるためにはこの行為が絶対的に重要だということを自覚ください。次に大善力の二番目として、経営の判断基準を持っていることが重要です。大義名分の下で目標を課し、規律をもって鍛え上げる厳しい上司です。方針を示し、見てない振りでも注視し、いけないことはいけないと厳しく叱り、随時報告を上げさせ適宜アドバイスによって、時に口うるさくも必ず結果を導き出してあげる上司です。このような上司なら、その上司同様に部下のスキルや力量もアップして、部下もはるかに伸びていくはずです。

注記:大善した気になっている上司が起こしがちな誤りに、目的や意義を部下に“話し伝える”だけで分かったものと思い込んでそれで終わりにしていることがよくあります。悪気は無いのですが適当なのです。フィロソフィの持つ大善力を血肉化する第一歩は「部下の理解」です。「目的と夢」をリーダー自らが夢に酔い真剣に語り始めれば、リーダーの発散するエネルギーによって部下の目付きが明らかに変わり、エネルギーが転移すれば顔色までも赤みがかってくることが分かります。リーダーの皆を燃え上がらせる経営に対する凄まじい熱意はそれほどまでに重要なのです。「皆で富士山に登ろう!それも垂直登攀だ!」と熱く訴え続け、部下の理解を得られ共鳴し共振してくれる状態かが重要なのです。また経営の判断基準を持ち合わせていないリーダーは、一つは普段の規律行為に注意を注ごうとしません。明るさに欠ける電話応対に即注意できる感性や業者言葉を使わせない意味などを理解できていないのです。人の心に対する気付きが浅く淡白です。更に業務面ではお客様との最初の面談やニーズのニーズを掴む機会を重要視せずに部下に単独で当たらせ、その上商談プロセスにおける言葉遣いなどにメスを入れようとせず、クロージングで何か問題が起きた時に慌てて出て行き対処する行為をしています。そしてこれがリーダーの役割だと思っています。このようなリーダーの下では、次なるリーダーが育っていないはずです。夢をとことんまで語り続ける上司、人を導く経営者としての判断基準を持ちあわせている厳しいリーダー、そんな人に厳しくても部下はついていきたいと思うのではないでしょうか。

高尾山ではなく富士山を目指すサンフロです。生き方や努力、求められる正しさに対する行為が他社と違って当たり前なのです。全国大会の晴れ舞台に立っているチームのレベルを更にアップさせていくには、一人ひとりがフィロソフィに基づく大善の重要性を認識し、大善を毅然として内外に示していく強く正しい生き方が今こそ必要です。私欲を捨て仲間にもお客様にも正しいことを正しいままに主張し貫く。真の思いやりがあれば相手は必ず理解し、賛同者になってくれます。サンフロはそのような勇気のある人を評価し賞賛する会社です。大善力とは見識です。伝え方と理解してもらう言葉、ボキャブラリーを考え続け言葉に出し、実践で貫けば結果は大きくついてきます。

「人を幸せに導ける人、それがリーダー」と定義する当社においては、率先垂範で先頭に立って成していく大善力はことのほか重大な行為なのです。一人でも後輩を迎えたらそれはもう立派なリーダーです。また今はリーダーでなくても、人間として人を幸せに導ける人に成長して行きたいと志を抱くサンフロ社員ならば、何の遠慮も無く①正しいことを考え、②言葉に出し、③周囲に理解してもらい、周囲の人をより幸せにしていく道を選ぶべきだと思います。その風土がサンフロ魂であるはずです。仲間に対しては勿論のこと、お客様に対しても「これは正しいことか」としっかり問いかけ、自分の力で考える。この考える力こそが人が成長する第一歩です。全員で今この時から意識して取り組んでいきましょう。

人を相手にせず、天を相手にせよ 人生を生きる上での三つの力