FRONTIER JOURNEYとは

FRONTIER JOURNEYでは、サンフロンティアに関わる社内外で活躍するさまざまな「人」に焦点を当て、
仕事への想いや人生哲学を深くお聞きし、私たちが大切にしている「利他の心」や新しい領域にチャレンジし続ける「フロンティア精神」についてお伝えしています。
人々の多彩な物語をお楽しみください。

Vol. 055

社会に必要とされ続けること
社内起業家が自らに与えた使命と
リーダーの考動に迫る

サンフロンティアスペースマネジメント株式会社
代表取締役社長
音道 慶太郎Keitaro Otomichi

2024年4月12日

貸会議室・レンタルオフィス・コワーキングスペースなどの運営を行う「サンフロンティアスペースマネジメント株式会社」が、サンフロンティア不動産から分社化したのは2019年。政府主導の「働き方改革」における柔軟な働き方の一つとして、テレワークがこれまで以上に注目されることになった年である。折しも世界的なパンデミックが起き、テレワークは劇的なスピードで導入され、レンタルオフィスやコワーキングスペースの需要も高まっていった。
「私たちの仕事は、単なるスペースの箱貸しではなく、その企業の成長をお支えすることだと思っています。」
サンフロンティアスペースマネジメントを社内で新規事業として立ち上げた音道慶太郎に、競争が激化する市場における、事業の展望や経営理念について話を聞いた。

平坦な道ではなかった。迷いながら出会ったのは“利他”という社是

大学を卒業した後、就職をせずに「フラフラしていた」という音道。「家族や親族が皆、医療系の仕事に就いていて、中高一貫校に通い自分も医学部に行くつもりでいたのですが、このまま決まったレールの上を走っていいのかという思いが強くありました」
高校3年の夏、急遽進路を変更し、弁護士を目指し法学部に進んだ。卒業後、アルバイトをしながら司法試験に挑むも、限界を感じ24歳のころ就職をしようと思い立つ。当時、既卒ではエントリーシートすら通らずかなりの苦戦をしたという。

「宅建を取得していたので不動産の分野でなら採用してもらえるのではないかと応募し、ご縁がありサンフロンティアに入ることができましたが、初めての社会人経験のため、知らないことだらけで苦労しました。
社会人経験が皆無の私にとってサンフロンティアのカルチャーはとても刺激的でしたね。創業者である現会長のフィロソフィや考え方について、まだ組織が小さかったこの時期、直接、密な指導を受けることができました」

大学卒業後、すぐに進路を決めなかったのは「大人になることに対する恐怖心」があったという。何をしたらいいのか答えが見つからず、モラトリアム期を経てやっと就いた仕事。そこで、一生をかけてどれだけ多くの人に役立たせていただくことができるか、仲間のため、社会に貢献するためにどれだけ尽くせるか・・・「利他」を社是に掲げるサンフロンティアのカルチャーに触れ、自身の心の奥深くにあった「社会に貢献していきたい」という思いが強まっていく。

「祖父は医者で、北海道で産婦人科医院を経営していて、私もその病院で祖父が取り上げてくれました。総合病院がない地域だったので、急患が来れば食事中でも直ぐに家から飛び出していく祖父を見ていました。今振り返ると、オンオフの境目がない仕事に従事する祖父の姿を見て育ったことで、人の役に立つために自分が何をすればいいのか定まらなかったから、すぐに就職する気持ちになれなかったのだと思います。“大学を出たのだから就職するのだ”という感覚はなかった。祖父は寡黙な人でそんなに会話をした記憶はないのですが、幼少期に見た祖父の仕事に対する姿勢や地域に貢献する生き様が心に強く刻まれ、これが“仕事”というものなんだな、と漠然と感じていました」

入社当初はオフィスの賃貸仲介を担当。適時行われる研修と実務で濃密な時間を過ごした。慣れない業務を時間を掛けてしっかり完結させる、日々、その積み重ね。そして3年間の営業職を経て、異動となった。
「当時サンフロンティアは東証一部上場を目指していたため、監査部門を強化しており、内部監査室に異動。その後、内部統制構築プロジェクトのリーダーに任命されました。そこから経営企画部に異動し、社長に近いところで日々業務にあたり、“経営”に興味が沸いたのもこの時期です」

「各セクションの業務がルール通り行われているか、業務プロセスを可視化し改善・改良の提案をする。この時の経験が現在の仕事で確実に活かされていますね。ここのところはミスが起きる可能性が高いからチェックを怠らない、など社長として会社を俯瞰できる力は、内部統制構築の経験を通じて養われたと思います」

1本の電話を機に、やりたかったことを実現するチャンスが訪れた

2016年、とあるビルが再開発エリアに入りテナントが退去。取り壊しまでの間、空室区画を有効活用できないかという相談がサンフロンティアに舞い込んだ。新たな事業を立ち上げるチャンス、企業内起業の機会としてメンバーが選出される中、経営企画部所属の音道には声はかからないだろうと考えていたところ、「ちょっと来てくれないか」と社長から直接電話が入った。

「プロジェクトの期間が限られているので、貸会議室がいいんじゃないかという大まかな方向性が上がっていて、貸会議室事業を運営している方の話を一緒に聞くことになりました」
それまで経営企画の役割は新しい事業を創出することだと考えていた音道は、いつそのようなチャンスが訪れてもいいように準備をしていた。そのタイミングが突如やってきたわけだ。

「面談した会社とパートナーシップを組み、サンフロンティアの『チャレンジビジネス』という位置付けで貸会議室事業が始まりました。しかし、そのパートナーシップは1年半ほどで解消に至ってしまいました。自らの事業モデルを実現したいパートナーとお客様の声を形にしたい私たち。向いている方向が異なることが判明し、話し合った結果、パートナーの事業を買収しもっとお客様に喜んでいただける方向を追求し続けました。その後、事業はぐっと伸びていきました」

「起業する人の多くは、自分の考えを世に問いたいという思いが強い。それは『起業のエネルギー』でもあり大切ですが、起業から10年以内で90%以上の会社が廃業するといわれる中、従業員とその家族を守ることを考えたら、個人の思い以上に社会のお役に立つこと、お客様に貢献する事業でなければ継続は難しい」と音道は語る。

「当社には『全従業員を守る』という経営理念があり、私の判断基準でもあります。その軸をぶらすことなく、相手の意見に流されず妥協しないという信念があります。事業パートナーとは本質的なところで同じ方向を向いていること、そのことが共に事業を継続していくために大切だと思います。」

お客様のためになる、より良い未来に貢献する事業を

「私たちは、単なるスペースの箱貸しをしているのではなく、その企業の成長をお支えする仕事なのだと思っています。“企業はイコール人”だとすると、研修や面接、セミナーといった企業活動を行う場、人を教育する場を提供している私たちの仕事はとても社会的意義があります」

音道は、貸会議室業は都心部におけるビジネスインフラといっても過言ではない、そうなりうる事業だと想いを語ってくれた。同時に、参入障壁が低く、資格・免許を有する必要がないビジネスでもあり、どう差別化していくかが大きな課題である。ともすると価格競争になりがちな市場で音道がこだわるのが「サービス力」だ。

融通が利く、お客様視点で対応するといったどんな業界でも求められる当たり前ともいえるサービスが、実は貸会議室業には足りていないのだという。音道は、空間を貸すだけではなく、セミナーや研修といった催事の成功を、お客様と一緒に叶えていくのだという信念で仕事をすること、そこが差別化になるのだと常々従業員に伝えている。

社員のみならずアルバイトを含めた全従業員にその方針を隈無く伝えていくのは、時間がかかり骨の折れる作業だ。でも、だからこそそれが他社には真似のできない価値になる。

音道を知る人は、「普段は寡黙だけれど、本質的なことは、これでもかこれでもかと伝え続ける。かつてのリーダー像は、カリスマ的なスタイルが多かったけれど、今求められているリーダーはそうではないなと音道さんを見て思うんですよ」と話してくれた。音道自身はリーダーに求められるコミュニケーションをどのように捉えているのだろうか。

これからのリーダーに求められるコミュニケーションとは

「サンフロンティアに入社以来大切にしていることが一つあって、それは“否定語を使わない”ということなんです。“でも”とか“無理”とか、マイナス言葉を意識的に使わないようにしています。発した言葉は必ず誰かが聞いています。特にリーダーが発する言葉は周囲に影響を与えてしまうし、発している自分も常に聞いている、自らもマインドコントロールされてしまうわけです」

たとえ心の中で思ったとしても否定的な言葉は言語化しない、このことを20年間意識し続けているのだという。プラスにならない言葉なら発しないほうがいい。だから寡黙に映るかもしれないが、故に、出てくる言葉はポジティブで本質的なのだ。

さらに、メンター的役割を担う際には、相手が“一生懸命考えて答えを出すことができるよう”質問を投げかける。それはひとえに相手の成長のため。

指示を尽くして指導をする、思いを雄弁に語る、リーダーにはさまざまなタイプがあれど、音道は「相手に考えさせる」ことを大切にしている。答えを与えるのではなく、考え抜いた質問を投げかけ、相手が考え、自らの言葉で答えを探す中で気づきがあるような導きを心がけているのだ。

経営者を育てるフィロソフィが息づく会社だからできたこと。
後に続く人たちにも届けたい想い

「サンフロンティアの教育は、いわゆる優秀なビジネスマンを育てるというより“経営者を育てる”実践哲学なんです。だから私も、サンフロンティアスペースマネジメントを経営者が育っていく会社にしたい。そのためにはやはり、100の言葉を重ねるより私自身が一つの事業を成功させること。それが一番の勇気を与えることになると思うのです」

音道の口からは、後進のことを考え、誰かを幸せにする、役に立つことを前提にした言葉が続く。今のビジネスを大きく、存在感のあるものにしていくことが後に続く人たちのモチベーションになると信じているから、目標の達成に向けて突き進んでいけるのだろう。

今後の展望を聞くと、
「何もないところから新しい芽を育てるのが得意な人と、育てた芽を引き継いで大きくしていくのが得意な人・・・会社にはさまざまなタイプの人財がいますから、私が何か新しい芽を作って、それを伸ばせる人に渡して、永続的に成長する会社にしていきたい。その新しい芽が不動産じゃなくてもいいと思ってるんです。ただ共通するのは、社会から求められるものであること」

利他の精神と、これまで歩んできた自身の経験から、悩み考える人の気持ちに寄り添えるリーダー、音道が率いるサンフロンティアスペースマネジメント。社会から必要とされ続けるためにどんな新しいモデルを生み出すのか、今後も目が離せない。

Next Frontier

FRONTIER JOURNEYに参加していただいた
ゲストが掲げる次のビジョン

常に新しいことに対応できる自分をつくっていく。そうして、訪れたチャンスを逃さないよう準備をしていきたい
編集後記

4月8日に25周年を迎えたサンフロンティア。創業より「お客様視点で変化するフィロソフィによる心の経営」を軸とし、進化発展の中で、サンフロンティアスペースマネジメントは生まれました。そして“経営者を育てる”実践哲学、サンフロンティアイズムを継承する音道が、企業内起業として立ち上げたグループ会社のトップとして思い描く企業像は、やはり「経営者が育っていく会社にしたい」でした。
今回の取材を通じて改めて、FRONTIER JOURNEYのコンセプトである「人」に焦点を当て、仕事への想いや人生哲学を深く掘り下げ、私たちが大切にしている「利他の心」や新しい領域にチャレンジし続ける「フロンティア精神」をこれからも皆さまにお届けしていきたいと強く感じました。

サンフロンティアスペースマネジメント株式会社についてこちらからご覧いただけます:https://www.sfsm.co.jp/

いかがでしたでしょうか。 今回の記事から感じられたこと、FRONTIER JOURNEYへのご感想など、皆さまの声をお聞かせください。 ご意見、ご要望はこちらfrontier-journey@sunfrt.co.jpまで。

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いただいたコメントの一部をご紹介いたします。

“社会に必要とされ続けること 社内起業家が自らに与えた使命と リーダーの考動に迫る” への1件のコメント

  1. 古本勝美 より:

    音道慶太郎さんの笑顔と私の玄孫(サンフロンティア不動産へ昨年入社した富山大学卒)の澤田晃希君。
    北海道美瑛町出身の私と音道様の北海道出身が重なったこと。
    そして開拓者精神にとんだ「人と世のために尽くす」志に共鳴しました。
    久方振りに気持ち良きメッセージを読ませていただきました。ありがとうございます。

    株式会社プランナーワールド 代表取締役 古本勝美

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