MESSAGE TO OUR SHAREHOLDERS
株主の皆様へ
~ 2025年3月期を終えて ~
株主の皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
当期の国内経済は、非製造業を中心とする企業部門の堅調な動きに加え、賃金や所得環境の改善を背景に個人消費にも持ち直しの兆しがみられ、緩やかながら回復基調を維持いたしました。一方で、中国経済は足踏み状態が続いており、さらに米国における関税政策の変更によって幅広い国々に影響が出るなど、先行きの不透明感が継続しています。このため、海外経済の下振れリスクには引き続き注意が必要です。国内金利の上昇は一時的に落ち着きを見せているものの、世界的な不透明感を背景に、日銀の金融政策に加え、米国や中国の経済指標および政策の動向を含めた、グローバルな政治・経済情勢を注視してまいります。
こうした中、当社グループは「利を求むるに非ず、信任を求むるにあり。変わるのは自分、お客様視点でお困りごとを解決する、期待以上で応える」という大方針の下、事業を進めてまいりました。当期の業績は、売上高103,174百万円(前年同期比29.2%増)、営業利益21,279百万円(同20.9%増)、経常利益20,446百万円(同17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14,163百万円(同18.8%増)となり、前期比で大幅に増収増益となりました。その結果、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を達成することができました。これも、ひとえに株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様の日頃からのご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。個別の事業においては、不動産再生事業の物件販売が第4四半期に偏ってしまったことは改善点ではあるものの、販売は概ね計画通りに完遂することが出来ました。また、物件の仕入れは順調に推移しており、2026年3月期から2028年3月期を対象とする新たな中期経営計画に沿って、持続的な成長を遂げるべく準備を入念に進めています。不動産サービス事業では、貸会議室事業や売買仲介事業、サブリース事業を中心に業績を拡大しながら、ストック型ビジネスとして安定した収益基盤の強化を進めております。ホテル・観光事業では、M&Aによる運営ホテルの増加に加え、インバウンド需要の拡大といった堅調な市場環境の後押しを受け、ホテル運営事業が大きく伸長しています。また、ホテル開発事業においては、全国各地で多数のホテル開発計画を推進し、未来の事業基盤を積極的に構築しています。
ここでは、第4四半期における特徴的なトピックスを2点ご紹介いたします。
一点目は、数年前より取り組んでいた新築ビル事業が軌道に乗り、当期の業績において過去最高益を成し遂げる大きな原動力の一つとなりました。資産回転率の高いリプランニング事業に加え、低層店舗ビルやオフィスビルなどの新築事業を組み合わせることで、長期的かつ安定的な販売計画の策定が可能になりました。特に当期は、田町で竣工を迎えたオフィスビルにおいて、竣工直後から賃貸の申し込みが相次ぎ、リーシング活動が順調に進捗した結果、リピーター様への早期販売に結び付きました。当該案件は、当社オフィス事業部門が長年にわたり培ってきた実績とノウハウの結晶と言えるものです。
二点目は、不動産特定共同事業の大幅な業績拡大です。当期は、都心近郊の環状線沿いに位置する大手空調メーカーのメンテナンス・ステーションが、販売開始早々に完売するなど非常に高いご評価をいただきました。これまでも保育園や医療モールなど地域に根差した特徴ある商品展開を重視し、地域やテナント様のニーズに応じて、不動産活用の幅を新しい視点から広げてきた成果と考えております。来期以降は関西方面への展開を予定しており、大阪府箕面市や兵庫県西宮市における医療モールの販売を開始する計画です。今後も、当社グループによる不動産活用力を強みに、用途や地域の多様化を図りながら、地域の活性化に資する投資商品の開発を目指してまいります。
これら2つの事例に共通するのは、リプランニング事業の比重が高い従来の事業構造において、同事業に加えて新たな事業の柱になりつつある点です。リプランニング事業は、これまで当社の業績を力強く牽引してきた一方で、それに匹敵する未来事業の育成が当社の課題でもありました。現在すでに始動している新たな中期経営計画の達成と長期ビジョン2035の実現においては、リプランニング事業に次ぐ新たな成長事業を着実に育てつつ、単発的な飛び石的な事業ではなく既存事業で培った強みを活かし、新たな領域へ横展開を図ることで、事業の裾野を広く、かつ厚みのあるものにしてまいります。
さて、本年4月から新たな中期経営計画が始まりました。新たに掲げた定量目標を達成することは元より、当社が成長することでより大きく社会に役立てる企業グループとなってまいりたいと考えております。不動産市況や海外の経済市況の変動など、常に先行き不透明な事業環境ではありますが、リスク対策を講じながらも中長期的な成長を見据え、新たな取り組みや施策を進めてまいります。そして、地に足のついた各種の施策を通じて地力を高め、一過性ではない持続的な成長を実現し、株主の皆様のご期待にお応えしてまいります。
当社グループは、社是である「利他」の心で、高い志に基づいた事業の拡大に創業以来取り組んでまいりました。今後もステークホルダーの皆様との調和を図り、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
株主の皆様におかれましては、引き続き一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2025年5月9日
サンフロンティア不動産株式会社
代表取締役社長
齋藤 清一